2004年 07月 28日
独逸での明と暗(BARの場合、明×2、暗×1?) |
ここ何戦かの戦いぶりから考えると、BARホンダの開幕から続いたイケイケドンドンという勢いが無くなってきているようだ。ウインターテストから速さを見せつけていたBAR、ただしテストはどのような条件で走行しているか不明確な点も多くその結果を鵜呑みにはできない。ただホンダ陣営からはフライアウェイの開幕3戦以内で表彰台へ登るという威勢の良いコメントも出てきていた。それは有言実行となった、バトンが2戦目のマレーシアで3位に入り自身初の表彰台をゲットしたのだ。一つの壁をクリアしたバトンの勢いは止まらず、マレーシアからバーレン、サンマリノと3戦続けて表彰台に上がり続け、あとは優勝のみという位置まで来た。一方佐藤琢磨は原因不明のエンジンブローに悩まされ続けていたが、何戦かでポイントを獲得していった。ニュルでのヨーロッパGPでは予選2位につけフロントロー獲得、レースではバリチェロとの接触もあり物議を呼んだが Takuma Sato というファイターのレースぶりに全世界が注目し始めたといっても良いのではないでしょうか。そしてアメリカGPでついに3位フィニッシュ、表彰台に上がった。ただこのあたりがBARホンダの1回目のピークであったのか?
何故ならヨーロッパに戻り空力パッケージを変えてきたウイリアムズ、新車MP4/19Bを投入してきたマクラーレンに復調の兆しが見え、BARの相対的ポジションが落ちているのだ。またザウバーもブリヂストンタイヤのロングラン2ストップ戦法、風洞効果によるエアロパッケージ改良など例年にないシーズン中のステップアップを遂げ戦闘力アップ、BAR追撃を開始した。
BARもイギリスで新エアロを投入したのだが、想定した効果を得られず土曜日には従来型に戻してしまった。これで金曜日のアンソニーが収集したデータの半分くらいがパアになったかもしれない。結局セットアップを煮詰め直して臨んだが、土曜日の空模様にも翻弄されバトン4位、琢磨11位で終えた。
そして今回ドイツ、また新パーツを入れてきた。「画期的フロントサス」らしいのですが、FIAからクレームというか失格にならない可能性はないという難しい見解を受け、土曜日には従来のサスに戻してきた。パターンとしてはイギリスと同じ、金曜日のアンソニーの頑張りが無駄になってしまった。こうなれば土曜日にセットアップを煮詰め直したいところですが、フリー走行1で琢磨がクラッシュしてしまい、このセッションで走る事ができなかった。続くフリー走行2もマシン修復に費やすこととなり予備予選(予選1)まで走れることができなかった。さてバトンだけでマシンは煮詰まったのか?
そんな経緯を考えれば琢磨の予選8番手タイムは褒めて良いのかもしれない、ただし結果的に4周分重い燃料を積んでいたバトンにコンマ6秒アウトクオリファイされたのだ、これは動かしようのない事実です。問題はこのタイム差が妥当かどうかなのです。セットアップ不足と燃料重量分を調整した結果、琢磨がコンマ6秒落ちなら良いのですがね。多分、普通はそう考えないでしょう、ジェンソンが速いと考えますよね。
ジェンソンは予選3番手タイムをマークしましたが、金曜日にエンジン交換を行っており予選で10グリッドダウン、決勝は13番グリッドからの出走となる。今年のBARホンダはアメリカGPでもそうだったように、重めの燃料を積んでもソコソコ予選上位のタイムを叩き出せる。そんなBARホンダがどのような戦略をとるのか?、3番手タイムをマークしてもある程度重めに積んでいると考えられる。少なくともマイケルよりは持っているだろうと、ただし13番手スタートということでみんなの視界からは土曜日の時点で消えていたのです。
だがレースでのジェンソン、13番手からスルスル順位を上げてくる、スタート直後には8番グリッドから出た琢磨のすぐ後ろまで来ていた。そしてトップグループが1回目のピットストップを行う中、重い燃料を生かして12周目にはトップへ踊り出たのだ。ここでみんなが気がつく「今日のジェンソンは速い」と、本当は土曜日から速かったのだがみんな忘れてしまっていただけなんですけど。堂々のトップランで15周目に悠々ピットへ入り燃料補給、タイヤ交換を行いコースに5位で戻っている。その後も順位を上げて29周目には再びトップに立つ、2回目のピットインを34周目に行うと3位でコースに復帰、アロンソとのバトルが始まった。勝負のポイントは高速から続くヘアピン6コーナーへの飛び込みと脱出の加速でした。去年もモントーヤとライコネンがやり合ったポイントでしたが、今年はバトンとアロンソが数周に渡りバトルを繰り広げた。ホッケンハイムは一昨年の改修で加わった新コースがコースワイドな造り、6コーナーまでの加速でアウトサイドから並びかけ早めのブレーキングで相手のインに飛び込めば、今度は立ち上がりのトラクションでの勝負が可能となる。高速コーナーからの急減速、その立ち上がりの先に勝負可能な飛び込めるコーナーを設けるというヘルマン・ティルケ得意のコースレイアウトですが、ここホッケンハイムの改修はアタリだったようです。(ただこのレイアウトばかりだと飽きちゃいますね、バーレーン、セパン、上海もそうらしい)結果的にバトンがコース上でアロンソをオーバーテイクして2位を奪いました。
対する佐藤琢磨、8番グリッドからスタートするがなかなか順位を上げる事が出来ない、明らかにラップスピードが遅かったウエバーに押されられたまま、1回目のピットストップへ、コース復帰は13位に落ちていた。他車とのピットストップのタイミングもあり2回目ストップの前には6番手まで押し上げるのだが、コースアウトの影響もあり結局8位でフィニッシュした。
13番手スタートで2位まで押し上げたバトン、8番グリッットから出て8位の1ポイントを持ち帰った琢磨、結果だけ見れば速さがある若いファーストドライバー、たまにポイントを持ってくる開発能力のあるセカンドドライバーという組み合わせのBAR、ラインナップとしては最高です。少なくとも日本人以外は間違いなくそう考えている、琢磨のこともニュルやインディアナポリスのレースである程度評価しているだろうがやはり「ホンダ」が送り込んだドライバーという印象は拭えない、だからアンソニー起用の待望論が出てきてしまうのでしょう。
そうBARにはもうひとりドライバーがいるのだ、金曜日だけに出走できるドライバーが。その名をアンソニー・デイビットソンといいます。奇しくも琢磨とアンソニーは2001年英国F3を同じカーリンモータースポーツで戦ったチームメイト同士時代でした。アンソニーはチャンピオンとなった琢磨には太刀打ちできませんでしたが、ランキングは2位、誰もが来年はアンソニーの番だと考えた。しかし翌年のF3参戦をスパッと止めBARのテストドライバーに就き、今年がテストドライバー3年目、今年のレギュレーションにより参加が許された金曜フリー走行にサードドライバーとして参戦している。好調なBARホンダを駆り金曜日とはいえマイケル、モントーヤ、ゾンタと激しくタイムバトルを繰り広げている。そして何度かタイムシートのトップに名前を刻んだ日もあった。そんなアンソニーは今フライデー・チャンプとして評価急上昇中、ソコソコ速く、開発ドライバーとしても実績あり、そしてギャラが安い、決定的なのは英国出身ということ、ウイリアムズが興味を持っているということですが、ジャガー入りも噂されている。このモテモテぶり第二のオリビエ・パニス状態である。
「明」ジェンソン、アンソニー、「暗」琢磨という評価がBARホンダのドライバー3人のドイツGPです。チームとしても失速気味から3戦振りの表彰台ゲット上昇気流に乗せたいところです。テスト禁止期間を経てハンガリー、ミッキーマウスサーキットのこのコースはストップアンドゴーが得意なBARホンダに期待してよいでしょう。バトンのドライビングスタイルの方が適正が高いのではと予測できますが、私は日本人です「頑張れ佐藤琢磨」と叫びたい!
(つづく)
何故ならヨーロッパに戻り空力パッケージを変えてきたウイリアムズ、新車MP4/19Bを投入してきたマクラーレンに復調の兆しが見え、BARの相対的ポジションが落ちているのだ。またザウバーもブリヂストンタイヤのロングラン2ストップ戦法、風洞効果によるエアロパッケージ改良など例年にないシーズン中のステップアップを遂げ戦闘力アップ、BAR追撃を開始した。
BARもイギリスで新エアロを投入したのだが、想定した効果を得られず土曜日には従来型に戻してしまった。これで金曜日のアンソニーが収集したデータの半分くらいがパアになったかもしれない。結局セットアップを煮詰め直して臨んだが、土曜日の空模様にも翻弄されバトン4位、琢磨11位で終えた。
そして今回ドイツ、また新パーツを入れてきた。「画期的フロントサス」らしいのですが、FIAからクレームというか失格にならない可能性はないという難しい見解を受け、土曜日には従来のサスに戻してきた。パターンとしてはイギリスと同じ、金曜日のアンソニーの頑張りが無駄になってしまった。こうなれば土曜日にセットアップを煮詰め直したいところですが、フリー走行1で琢磨がクラッシュしてしまい、このセッションで走る事ができなかった。続くフリー走行2もマシン修復に費やすこととなり予備予選(予選1)まで走れることができなかった。さてバトンだけでマシンは煮詰まったのか?
そんな経緯を考えれば琢磨の予選8番手タイムは褒めて良いのかもしれない、ただし結果的に4周分重い燃料を積んでいたバトンにコンマ6秒アウトクオリファイされたのだ、これは動かしようのない事実です。問題はこのタイム差が妥当かどうかなのです。セットアップ不足と燃料重量分を調整した結果、琢磨がコンマ6秒落ちなら良いのですがね。多分、普通はそう考えないでしょう、ジェンソンが速いと考えますよね。
ジェンソンは予選3番手タイムをマークしましたが、金曜日にエンジン交換を行っており予選で10グリッドダウン、決勝は13番グリッドからの出走となる。今年のBARホンダはアメリカGPでもそうだったように、重めの燃料を積んでもソコソコ予選上位のタイムを叩き出せる。そんなBARホンダがどのような戦略をとるのか?、3番手タイムをマークしてもある程度重めに積んでいると考えられる。少なくともマイケルよりは持っているだろうと、ただし13番手スタートということでみんなの視界からは土曜日の時点で消えていたのです。
だがレースでのジェンソン、13番手からスルスル順位を上げてくる、スタート直後には8番グリッドから出た琢磨のすぐ後ろまで来ていた。そしてトップグループが1回目のピットストップを行う中、重い燃料を生かして12周目にはトップへ踊り出たのだ。ここでみんなが気がつく「今日のジェンソンは速い」と、本当は土曜日から速かったのだがみんな忘れてしまっていただけなんですけど。堂々のトップランで15周目に悠々ピットへ入り燃料補給、タイヤ交換を行いコースに5位で戻っている。その後も順位を上げて29周目には再びトップに立つ、2回目のピットインを34周目に行うと3位でコースに復帰、アロンソとのバトルが始まった。勝負のポイントは高速から続くヘアピン6コーナーへの飛び込みと脱出の加速でした。去年もモントーヤとライコネンがやり合ったポイントでしたが、今年はバトンとアロンソが数周に渡りバトルを繰り広げた。ホッケンハイムは一昨年の改修で加わった新コースがコースワイドな造り、6コーナーまでの加速でアウトサイドから並びかけ早めのブレーキングで相手のインに飛び込めば、今度は立ち上がりのトラクションでの勝負が可能となる。高速コーナーからの急減速、その立ち上がりの先に勝負可能な飛び込めるコーナーを設けるというヘルマン・ティルケ得意のコースレイアウトですが、ここホッケンハイムの改修はアタリだったようです。(ただこのレイアウトばかりだと飽きちゃいますね、バーレーン、セパン、上海もそうらしい)結果的にバトンがコース上でアロンソをオーバーテイクして2位を奪いました。
対する佐藤琢磨、8番グリッドからスタートするがなかなか順位を上げる事が出来ない、明らかにラップスピードが遅かったウエバーに押されられたまま、1回目のピットストップへ、コース復帰は13位に落ちていた。他車とのピットストップのタイミングもあり2回目ストップの前には6番手まで押し上げるのだが、コースアウトの影響もあり結局8位でフィニッシュした。
13番手スタートで2位まで押し上げたバトン、8番グリッットから出て8位の1ポイントを持ち帰った琢磨、結果だけ見れば速さがある若いファーストドライバー、たまにポイントを持ってくる開発能力のあるセカンドドライバーという組み合わせのBAR、ラインナップとしては最高です。少なくとも日本人以外は間違いなくそう考えている、琢磨のこともニュルやインディアナポリスのレースである程度評価しているだろうがやはり「ホンダ」が送り込んだドライバーという印象は拭えない、だからアンソニー起用の待望論が出てきてしまうのでしょう。
そうBARにはもうひとりドライバーがいるのだ、金曜日だけに出走できるドライバーが。その名をアンソニー・デイビットソンといいます。奇しくも琢磨とアンソニーは2001年英国F3を同じカーリンモータースポーツで戦ったチームメイト同士時代でした。アンソニーはチャンピオンとなった琢磨には太刀打ちできませんでしたが、ランキングは2位、誰もが来年はアンソニーの番だと考えた。しかし翌年のF3参戦をスパッと止めBARのテストドライバーに就き、今年がテストドライバー3年目、今年のレギュレーションにより参加が許された金曜フリー走行にサードドライバーとして参戦している。好調なBARホンダを駆り金曜日とはいえマイケル、モントーヤ、ゾンタと激しくタイムバトルを繰り広げている。そして何度かタイムシートのトップに名前を刻んだ日もあった。そんなアンソニーは今フライデー・チャンプとして評価急上昇中、ソコソコ速く、開発ドライバーとしても実績あり、そしてギャラが安い、決定的なのは英国出身ということ、ウイリアムズが興味を持っているということですが、ジャガー入りも噂されている。このモテモテぶり第二のオリビエ・パニス状態である。
「明」ジェンソン、アンソニー、「暗」琢磨という評価がBARホンダのドライバー3人のドイツGPです。チームとしても失速気味から3戦振りの表彰台ゲット上昇気流に乗せたいところです。テスト禁止期間を経てハンガリー、ミッキーマウスサーキットのこのコースはストップアンドゴーが得意なBARホンダに期待してよいでしょう。バトンのドライビングスタイルの方が適正が高いのではと予測できますが、私は日本人です「頑張れ佐藤琢磨」と叫びたい!
(つづく)
by akihi1971
| 2004-07-28 00:26
| F1